短歌

★★

  1. ノンフィクション いま話せないならまたいつかそのいつかにぼくはいますか
  2. 「彼のことなんで好きなの」進化した民族ならば展示されない
  3. 君のもつやさしさとは名を付けず元からの名を当てたがるやつ
  4. 覚えるね、覚えられたら 正体を明かしてくれるサンタクロース
  5. 役目とかいつか消え去る その代わり駅に貼られたキャラが謝る
  6. めでたさは祝詞によって立ち上がる 歳をとるのはdearのその後
  7. 意図しない愛ほど人に残るらしい シティホテルで貯めて100%
  8. 「おんなの」って付けなくてもね、身の程はわかってるから安心してね
  9. 夜想ってかっこよくない? 洗いざらい聞こうとしたから昼になった
  10. でも僕は星座を作るてつきだった 君はコップを磨いてればいい
  11. 早朝の歩き方って昼時に通じないけど英語は喋れる
  12. 2時半にプール飛び込み出禁らしい 嘲る僕らはただの豚だね
  13. 電灯が北西へ向かい電灯がたすきをつなぎはじめる時間
  14. 惜しまれて舞台を去ったトップスター・ポールを次に掴む乗客
  15. トップ画面〈混声合唱・夢の意味〉警報音はかき消せないけど
  16. 一畳半より狭いけど好きな席 話していけば距離が開くから
  17. 祭終え歩くあなたの正面に歯医者帰りのあなたがいる
  18. 悪役は振り切ったほうが好まれる 延滞し続け2年のモバ充
  19. きみのため買ったペンを持ち、書いてみたタスクリストすぐ消えていく

  1. 越えなけりゃ大丈夫でしょと線を踏む 砂でよごした消石灰
  2. 大雨で人の消えた丘はきっと、わたしのためにできたステージ
  3. きみはたぶんフィクションにしか生きられない だから託すと言うのだよ
  4. 年一回話すだけでも残しとく 角度を変えれば充電できそう
  5. ダイヤルのまわしすぎは命取り きょうはあなたにピントが合わない
  6. 夢なんて信じてないけど光ってるコインランドリー、目がまわっちゃう
  7. 待ち人がいるものたちの群れだから弁当のうえでもシャボンは舞える
  8. いまきみにYESというのは政治的かもしれないからかんがえとくわ
  9. 豚汁とカレーライスの中間点 補助線引けば生み出せますか